意味不明の恐怖感
リボトリールの急減薬により私に現れた薬剤性の恐怖感は物や状況に対する○○恐怖症とは全くの別物だった。
恐怖の対象もわからない
何故怖いのかもわからない
ベンゾジアゼピンは抑制系の薬物であり急に減らしたり一気に止めたりした場合、反跳現象により抑制とは逆の促進の状態になることがある。
私に現れた恐怖感は精神薬で抑制、麻痺させられていた感情が急減薬によって一気に跳ね返り恐怖感情となって現れたのかも知れない。
錯乱という言葉が当てはまる?
発狂という言葉が当てはまる?
私は漠然とした恐怖感で気が狂いそうになった。
自分の中だけにある恐怖感情を言葉で表現できる筈もなく自分以外の人にわかってもらう事は不可能だった。
死にたくなるくらいの恐怖感はリボトリールによってダメージを受けてしまった脳の誤作動だったのかも知れない。
精神薬の恐ろしさを思い知らされた過酷な経験だった。
そして意味不明の恐怖感が減薬により消えた頃、私はリボトリールを処方した精神科医がよく口にしていた言葉を思い出した。
「どうですか、恐怖感はないですか?」
この質問の意味がやっとわかったのは自分が薬剤性の恐怖を経験した後だった。
恐怖という感情が精神薬の服用によって当たり前のように現れることを、この時の精神科医の質問が物語っていたことに愕然とした。
医師と薬剤師が精神薬の重篤な副作用と離脱症状を事前に注意喚起してくれることは無いと言ってもいいだろう!
私が経験した凄まじい恐怖は、ベンゾジアゼピン系てんかん薬リボトリールがつくりだしていた幻の恐怖だった。
逃れられない焦燥感
狂いそうな焦り、我慢できないイライラ、そして湧き上がる悲しみ …
リボトリール急減薬によって現れた焦燥感は壮絶であり他人に説明することは不可能、自分だけの苦しみであった。
叫びたくなるような焦りとイライラ、悲しみ、苦しみに心と身体が支配されそれらを紛らわせる為に私はひたすら近所を徘徊し続けた。
じっとしていられない
座っていられない
会話が出来ない
何も考えられない
信号を待てない
順番を待てない
リボトリール急減薬がつくりだした薬剤性の焦燥感は、いつも発作のように現れては消えるを繰り返した。
焦燥感が現れると冷や汗が噴き出し足の裏が痛み共に痺れだす。
いつ始まるかわからない、どこで始まるかもわからない …
足の裏から広がる痺れは、あっと言う間にふくらはぎ、膝、腰、腹、胸、そして顔を通り抜け、頭のてっぺんまでたどり着く …
顔面が痺れる、口が痺れる、舌が痺れる、目が痺れ見えにくくなる …
これらの怖い症状と意味不明の焦燥感はいつも一緒に現れた。
この焦燥感が始まると、とにかくじっとしていられない …
帽子を目深にかぶり人目を避け人ごみを避け、そして信号のない道を選びながら歩き回る日々は半年以上続いたと記憶している。
今考えるとよく我慢できたと思うほどの症状ばかリであり健康な人は想像もつかないであろう苦しみだった。
リボトリール急減薬により現れた焦燥感は今までの経験とは全く違う狂気に満ちた症状であった。
希望が見えない絶望感
リボトリールの急減薬によって現れた薬剤性の絶望感は、意味不明の恐怖感や連動し何の前触れもなく発作的に、そして爆発的に現れた。
あの日あの時に戻りたい、 元気だった自分に戻りたい …
そんな気持ちが急激に湧き上がり、 その直後に襲ってくる厳しい現実に絶望する。
何故こんなことになってしまったのか?
絶望が心と身体、すべてを支配し動けなくなる。
何度も何度も時計を見て 遅くて長い時間を延々とやり過ごす。
突然全身から吹き出す汗と抑えられない異常な絶望感 …
そしてが息が苦しくなり更に悪化するとパニック発作を起こしてしまう。
慌ててたくさん息を吸い込み今度は過呼吸になり顔や手足が痺れる。
誰も助けてくれない、 何処にも逃げられない …
精神薬によってつくりだされる絶望という感情が発作的爆発的に現れた時、人の心は簡単に壊れてしまう。
その行き場のない爆発的な絶望感が外側に向いた時は自分の回りの人達を苦しめ、内側に向いた時は自分自身を徹底的に痛めつけてしまう。
負の感情がつくりだした根拠のない最悪の未来 …
私が感じていた絶望感は私が創りだした想像上の絶望感でしかなく、ベンゾジアゼピン系てんかん薬リボトリールがその元凶であった。